Netflixドラマ「ハリウッド」レビュー
「ハリウッド」 2020年 シーズン1 エピソード7
原作・制作:ライアン・マーフィー、イアン・ブレナン
出演:デヴィッド・コレンスウェット、ダレン・クリス、パティ・ルポーン、ジェレミー・ポープ、ジム・パーソンズ、ローラ・ハリアー、ジョー・マンテロ、ディラン・マクダーモット、ジェイク・ピッキング、ホーランド・テイラー、サマラ・ウィーヴィング
ハリウッド あらすじ
第二次大戦後の退役軍人のジャック・カステロ(デヴィッド・コレンスウェット)はハリウッドで役者として成功を夢見るがエキストラ役さえ得ることすらできない日々を過ごすある日、酒場で腐っているとガソリンスタンドを経営するアーニー(ディラン・マクダーモット)からうちで働かないか、と持ち掛けられる。だが、そこはただのガソリンスタンドではなく、客が希望すれば性的なサービスも提供する店だった…。そして奇しくもそんな裏の仕事を通して若き俳優や脚本家の卵たちが出会い、ハリウッドで成功を勝ち取るため共に奮闘する。
ハリウッド 登場人物/キャスト
ジャック・カステロ(デヴィッド・コレンスウェット)
退役軍人。俳優を目指すもなかなか仕事をもらえずにいる。
レイモンド・エインズリー(ダレン・クリス)
監督志望。
エイヴィス・アンバーグ(パティ・ルポーン)
エーススタジオオーナーの妻。ガソリンスタンドの常連。
アーチー・コールマン(ジェレミー・ポープ)
脚本家志望。男娼として金を稼いでいたことをきっかけにジャックやアーニーと知り合うことに。
ヘンリー・ウィルソン(ジム・パーソンズ)
大物敏腕マネージャーだが、見返りに性的な要求をするなど結構なクズ。
カミール・ワシントン(ローラ・ハリアー)
女優志望アフリカンアメリカン。人種が理由でなかなか役に恵まれない。
ロック・ハドソン(ジェイク・ピッキング)
ヘンリーと契約する俳優。
クレア・ウッド(サマラ・ウィーヴィング)
エーススタジオオーナーとエイヴィスの娘で俳優志望。
アーニー・ウェスト(ディラン・マクダーモット)
ガソリンスタンド経営者。
ハリウッド ネタバレなし感想
(C)2020 NETFLIX WORLDWIDE ENTERTAINMENT, LLC
「ハリウッド」は海外ドラマ「Glee」やNetflixドラマ「ポリティシャン」のライアン・マーフィーとイアン・ブレナン制作作品で、ハリウッドで成功を目指す若者たちの群像劇であり、サクセスストーリーである。Netflix「ポリティシャン」でも同じような感想を持った覚えがあるが、ライアン・マーフィー作品は悪事や悲劇をさほど強調せず、ポジティブなシーンが続くため全体として起伏が少なく感じる。そのため悪く言えば刺激が少ないが、良く言えば気軽に見られる作品になっている。この部分の好き嫌いが視聴後の感想に大きくかかわってくると思うものの、ミュージカル映画のような夢心地な演出が古き良きハリウッドから生まれるアメリカンドリームを描く本作ととても相性がよかったと思う。メインキャラクターたちの下積み時代の苦労はさほど苦労として映らず、むしろそこで生まれた人脈こそが彼らの人生を開いていくというわかりやすいストーリーが魅力だ(嫌味ではなく)。また全体的にキャラクターたちが「実はいいやつ」だったり「根っこの部分では映画の力を信じている」ような人物が多く、商業主義に傾く映画界に立ち向かう人間たちの夢のある物語でもある。それらを「嘘くさい」とか「現実味がない」と言ってしまえばその通りかもしれないけれど、そんな登場人物たちが昔のハリウッドらしさより強調していると思う。
また大物マネージャー役のジム・パーソンズ(ビッグバンセオリー:シェルドン)や、アーニー役のディラン・マクダーモット、スタジオ経営のエースの妻エイヴィス役のパティ・ルポーンなど脇役たちの存在感が大きく登場人物が多いながら、どのキャラクターも印象的に映るはずだ。ストーリーに大きな山はないが、「映画作りに携わる人間たちを描くドラマ」というメタ的な(フィクションの中でフィクションを作るという意味で)興味深さも魅力だ。1話目を再生してから最後まで一気に見てしまった楽しさがあるのは間違いない。