Netflix ドラマ「アンビリーバブル たった一つの真実」レビュー
COPYRIGHT(C)MMXIX CBS STUDIOS INC.
実話に基づいた物語 「アンビリーバブル たった一つの真実」
出演:トニ・コレット, メリット・ウェーヴァー, ケイトリン・デヴァー, デイル・ディッキー, スコット・ローレンス, ダニエル・マクドナルド, オースティン・エベール, エリック・ランジュ, エリザベス・マーヴェル
「アンビリーバブル たった一つの真実」あらすじ
COPYRIGHT(C)MMXIX CBS STUDIOS INC.
ピュリッツァー賞を取った記事をベースに作られたドラマ。若者支援施設に住むマリー・アドラー(ケイトリン・デヴァー)が早朝に覆面の男に窓から侵入されレイプされたと警察に連絡した。警察は事件の状況を何度も無遠慮にマリーに問いただし、次第に発言がブレてくるマリーの証言を疑い始め、最後には証言は嘘であったと結論づけてしまう。そのことでまた苦しめられるマリー。またその頃別の管轄区域でマリーがされたのと同様の手口で女性を襲った事件を追うカレン・デュバル刑事(メリット・ウェーヴァー)が追っていた。そして偶然、ほかの警察署にも同じ手口のレイプ犯を追っている刑事がいることを知り、同一犯の連続強姦事件である疑いを強めるのだった。
「アンビリーバブル たった一つの真実」キャスト
マリー・アドラー(ケイトリン・デヴァー)
グレース・ラスムッセン刑事(トニ・コレット)
カレン・デュバル刑事(メリット・ウェーヴァー)
ロバート・パーカー刑事(エリック・ランジュ)
「アンビリーバブル たった一つの真実」ネタバレなし感想
COPYRIGHT(C)MMXIX CBS STUDIOS INC.
物語はマリー・アドラーのもとに警察が駆け付けたところから始まる。レイプされたと証言するマリーに刑事はまるで犯人を尋問するかのように何度も何度もその詳細を聞き、話の矛盾から上げ足を取り、最終的にはマリーはレイプ事件をでっち上げたと結論づける。同時に別の場所で連続強姦魔を追うカレン・デュバル刑事とグレース・ラスムッセン刑事をカメラは追い、マリーと二人の刑事の接点は全くないままストーリーは進んでいく。
結論から先に言えばとても面白かった。だけれどネタばれなしにその面白さを伝えるのがとても難しいと感じている。レイプを受けた女性側のダメージに対して警察や司法のレイプ犯に対する意識が軽すぎるという社会的な問題や、その警察の意識の甘さ故に凶悪犯と呼べる連続強姦魔の捜査が困難を極めるという部分は見どころではあるが、もちろん面白いのはその部分だけではない。例えば、
レイプ捜査の現状を知る現場の刑事たちの憤りと、結果まともに警察に捜査してもらえなかったと感じるレイプ被害者たちのギャップ
理解したい、支えたいと思っている人が周りにいても、彼らは何の助けにもならないと感じてしまう心境
レイプという女性の弱い部分をフィーチャーしながら女刑事たちの強さ、カッコよさも同時に描かれる点
全く性格の違うカレン(メリット・ウェーヴァー)とグレース(トニ・コレット)という二人の刑事の絡み、芝居
などなど色々見どころはあるものの、きっとあらすじやこんな箇条書きだけでは伝わらないと思う。評価数3000くらいから9531になる2019年9月22日時点までIMdbで8.7以下ポイントには下がることなく、むしろその数字の正当性を証明するように評価点は変わらず評価数だけ伸びて行っているという客観的事実のほうがこのドラマに興味を持ってもらえるんじゃないかと思う。
「アンビリーバブル」が描くのはただ単に警察が腐敗している、という話ではない。むしろそれぞれの刑事はそれぞれに職務を全うしようと努めているのにも関わらずうまくいかないという警察の現状を描きながら、まだまだ社会におけるレイプに対する意識の低さが存在し、それ自体がまた被害者たちを苦しめていることも描いていく。
正直、僕も連続レイプ犯を追うというあらすじだけ聞いてもあまり興味を持てなかったがIMdbの評価を見てチェックする気になったという経緯がある。この感覚こそがこのドラマが主眼に置いているレイプという犯罪を軽く見るという意識そのものなのかもしれない。
確かに「アンビリーバブル(信じられない)」な内容なので、題名にもおかしなところもないのだけれど、正直あまり興味を引くようなネーミングでもない。だけどこのネーミングすらも、レイプ被害者の信じられないほどの苦みと、ニュースなどで聞く「レイプ」という言葉の軽さへのギャップを表しているのかもしれない…、と思うのは考えすぎだろうか。
一方で様々な社会的な問題に切り込みながら、このドラマで一番伝えたかったことは誰かのために頑張る人や人にやさしくしようとしている人たちの想いが、なかなか伝えたい相手に伝わらないというもどかしさなのではないかと思う。個人的に一番面白いと感じたのはこの基本的な人間ドラマの部分だと思った。全体としてぜひオススメしたいドラマだと言える。ただ強いていうなら物語としての派手さが少ないのが欠点といえば欠点である。全8話で完結しておりまだ連休中に見られると思うので気になった方はぜひチェックしてほしい。