【骨太SF】オルタードカーボン

おすすめ度:★★★★★★★★☆☆(8点)
オルタードカーボン タイトル(C)2018 SKYDANCE PRODUCTIONS, LLC

27世紀、人の死が永遠のものではなくなった世界 「オルタードカーボン」

ショーランナー・脚本:レータ・カログリディス
出演:ジョエル・キナマン、ジェームズ・ピュアフォイ、マーサ・ヒガレダ、アントニオ・マルツィアーレ、クリス・コナー、ヒロ・カナガワ、クリスティン・リーマン、アリカ・アウトラン、ティーチ・グラント、ヘイレイ・ロー
Netflix(ネットフリックス)で視聴する



 

 


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「オルタードカーボン」 あらすじ

オルタードカーボン タケシコヴァヴィッチ(C)2018 SKYDANCE PRODUCTIONS, LLC

舞台は27世紀。人類は銀河系の様々な惑星に住むようになっていた。死は永遠のものではなくなり、人間の心はデジタル化されメモリースタックに記憶され頭部の付け根に埋め込まれるようになる。肉体が衰え死を迎えると、金があるものは肉体を買い、メモリースタックを移すことで永遠の命を得ることができるのだった。バックアップを取っていないメモリースタックを破壊された人間のみが”真の死”を迎えることになる世界。また犯罪者は精神のみを収容庫に拘禁され、金がなければ肉体は売られてしまう。タケシ・コヴァヴィッチ(ジョエル・キナマン)は日系と東欧系の労働者が開拓したハーランズ・ワールドという惑星で生まれ育ち、高度な訓練を受け、神経システムを強化された完璧な兵士の集団の特命外交部隊「エンヴォイ・コーズ」に所属していた。タケシはエンヴォイを除隊したあと、犯罪に加担して百七十年の保管刑を宣告され、ハーランズ・ワールドの収容庫に入れられていたが、ローレンス・バンクロフトという何百年も生き続けている大富豪に呼ばれ、刑期半ばにして見知らぬ男の姿で目覚めることになる。目覚めた場所は人類の故郷、オールド・アース(地球)のベイ・シティという都市。バンクロフトはその数日前に頭部を焼かれて死んでいるところを発見された。肉体のクローンとメモリー・スタックのコピーを所有していたため、間もなく生き返ったが死ぬ前の2日間の記憶がなかった。警察はバンクロフトの死を自殺と断定したが、彼自身は自殺するはずがないと信じており、その調査にタケシを採用したのだった。応じれば10万国連ドルの謝礼金と新しい肉体が手に入り、ハーランズ・ワールドへ帰還して恩赦を受けることができるという条件で、タケシは6週間という期限付きで調査を開始した。

 

 


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「シャッターアイランド」の脚本家によるNetflixオリジナルドラマ 「オルタードカーボン」

オルタードカーボン-眠るタケシ(C)2018 SKYDANCE PRODUCTIONS, LLC

今回Netflixのオリジナルドラマシリーズとしてて全10話のオリジナル・ドラマ・シリーズとして製作される「オルタード・カーボン」はリチャード・モーガンによるSF界の大文学賞フィリップ・K・ディック賞を受賞した同名小説を、連続ドラマ化したSFサスペンス・アクションになるそう。ショーランナー兼脚本としてレータ・カログリディスがクレジットされている。レータ・カログリディスと言えば知る人ぞ知るレオナルド・ディカプリオ主演映画「シャッターアイランド」の脚本家。彼女は自らの製作会社ミソロジー・エンタテインメントを通じて4年前に映像化権を獲得しドラマ化を目指してきたそうだ。そして今回のNetflixオリジナルシリーズとして製作に繋がったという。カログリディスが製作総指揮を務め、スカイダンス・テレビジョンが製作を手掛ける。

 



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「オルタード・カーボン」 2018年版SF

オルタードカーボン-収容庫(C)2018 SKYDANCE PRODUCTIONS, LLC

なんといっても「シャッター・アイランド」の脚本家が噛んでいるということで気になっていた。20年は昔の日本のSF漫画で既にあったような設定ではあるものの、オーバーグラウンドな作品としては比較的珍しい設定になるのではないだろうか。死なない世界で殺人事件の謎を追うというかなり風変わりなあらすじ。死が永遠ではなくバックアップと金さえあれば永遠の命が手に入ってしまう世界では人間はどう変わってしまうのか。人間の価値観の多くが「いつか死ぬ」という前提の上で成り立っているのに対し、その概念がなくなった時人は一体どんな価値観を持つのか。そもそもデジタル化した人間の心とは、本当に人間の心と呼べるモノなのだろうか…。SF設定をうまく使い技術が驚くほど進化した未来を描くことで、果たして人間は何をもって人間と呼ぶに値するのか。そんな哲学的な内容も作品中で問われていく。

 



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「オルタードカーボン」 やたら狙われるタケシ

オルタードカーボン-襲撃にあうタケシ(C)2018 SKYDANCE PRODUCTIONS, LLC

特に序盤はよくわからないままやたらタケシが襲撃に合ったりもする。画面上は派手なのでよくわからなくとも退屈はしないとは思うけれど、襲撃してくる敵が何を言っているかわからないことは多々あるだろう。「オルタードカーボン」ではストーリーと同時に未来の壮大な世界が描かれていくため、よくわからないままストーリーは進んでく。そのうち事情が明かされるのでわからないものはわからないまま流してみていくとよいと思う。

 


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「オルタードカーボン」 世界観の作りこみが凄まじい

オルタードカーボン-アエリウム(C)2018 SKYDANCE PRODUCTIONS, LLC

未来の世界という舞台がまずビジュアル的にとてもドラマとは思えないスケールで作られている。圧倒的なビジュアルをベースに未来の技術の上で成り立つ社会がしっかりと考察されており、どのように人間が技術の進歩に適応していったのか、考え方がどう変わっていったのか、またどんな人々が未来には生きているのかとドラマを見ていても、ストーリーに映らない部分すら作ってあるかのように重厚な設定が練られている。小説原作であるのでおそらく小説にそもそも綿密な設定が存在したのだろうけれど、これでもかというくらい細部にまでこだわった世界観の作りこみに舌を巻くに違いない。ただその反面、独特の用語が多く小難しいと感じる可能性も高い。ストーリー上知っておいたほうが良い、もしくは僕自身も後からなんだっけ?と思った用語はこのページの下部にまとめておいたので参考に。

 

 


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「オルタードカーボン」 カッチリとした世界観だからこその説得力

オルタードカーボン-VR表現(C)2018 SKYDANCE PRODUCTIONS, LLC

そもそも人の意識のスタック化、肉体のスリーブ化の前提で成り立つ社会であるため現代にない価値観を持っている未来の人々。理解しにくい価値観も出てくるが、しっかりとした設定の上で成り立っているので2018年の僕らでも納得ができるような説得力がある。この物語のように人の意識はいずれ電子化できる、という仮説も聞くが実際に可能な技術になってしまうとどうなるのか、どんな利点があってどんな問題が起こるのか、そしてそこで人の感情はどう反応するのか、例えばバンクロフトのように300歳を超えて生きていると人の価値観はどう変化していくのか。仮説の上に作者の想像力で作り上げられた世界があり、その世界の中で人間ドラマが描かれていくのがやはり一番の見どころだろう。またVR(仮想現実)の映像表現もなかなか新しい。個人的にはこの設定で「ブラックミラー」のようなオムニバスドラマを作っても面白いんじゃないだろうかとすら思う。

 

 



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「オルタードカーボン」 ネタバレなし 感想

オルタードカーボン-バンクロフトのパーティ(C)2018 SKYDANCE PRODUCTIONS, LLC

個人的には期待通りの骨太なSF作品だった。前述したように世界観やそこに暮らす人々の設定が綿密に練られているのも魅力だが、それらが説明的ではなくストーリーに沿って描かれていくため、興味を保ちながら壮大な未来の世界を理解していけるという演出が素晴らしい。また序盤から説明もなく絡めてくるシーンが後半でどうつながっていくのか、意味不明なシーンでもしっかりと印象に残るように演出されているため、情報の多さの割にはストーリーについていきやすい出来になっているのだと思う。色々未知な用語が説明もなく出てきたりはするが、ストーリーに関係がある事柄に関しては比較的何度も登場するように脚本が書かれているのだと思う。なんだろう?と引っかかっても流されていく言葉は大体スルーしても問題ないとは思うが、僕も最後のほうでタケシが何に気づいたのかよくわからなかったシーンもあるので、人によって理解度には差が出るのかもしれない。とは言え本筋を理解できていないとさすがに面白くないので、下にまとめた用語くらいを何となく知っておけば十分に楽しめるんじゃないだろうか。またタケシ・コヴァヴィッチたちの”未来”の戦闘シーンのカッコよさも魅力ではあるが、エキサイティングというよりは興味深いという意味で面白い作品だった。敢えて文句を言うならば、感情に訴える部分は少なかったように思える。だとしてもこれだけ作りこんである設定ならぜひこのまま2作目を作ってもらいたいものだ。シーズン1で終わらすのはあまりにももったいない。

 



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「オルタードカーボン」 登場人物

オルタードカーボン-タケシコバッチタケシ・コヴァッチ再生後
(ジョエル・キナマン)

殺人などの罪で収監されていたが、ローレンス・バンクロフトの力で新しいスリーブを与えられ再生する。

 

 

オルタードカーボン-クリスティンオルテガクリスティン・オルテガ
(マーサ・ヒガレダ)

ローレンス・バンクロフト事件を追っていた刑事。

 

 

オルタードカーボン-ローレンスバンクロフトローレンス・バンクロフト
(ジェームズ・ピュアフォイ)

自分を殺した犯人を捜すため、タケシ・コヴァビッチを再生した。永久的に生きられる程の富を持ったメトと呼ばれる大富豪の一人。360歳超。

 

 

オルタードカーボン-アイザックアイザック・バンクロフト
(アントニオ・マルツィアーレ)

甘やかされて育ったローレンスのドラ息子。

 

 

オルタードカーボン-ポーポー(クリス・コナー)

タケシ・コヴァッチが宿泊するAIホテルのAI。人間に興味を持っている。

 

 

タナカタナカ(ヒロ・カナガワ)
警部でクリスティンの上司。

 

 

 

ミリアムバンクロフトミリアム・バンクロフト
(クリスティン・リーマン)
ローレンス・バンクロフトの妻。彼らの結婚生活は100年以上も続いている。

 

 

 

 


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「オルタードカーボン」 用語集

メト

“メトシェラは969年生き、死んだ” メトシェラという旧約聖書「創世記」に登場するノアの方舟で知られるノアの祖父にあたる聖書の登場人物で最も長寿だったとされる人物が由来。オルタードカーボンの世界ではローレンス・バンクロフト(360歳超)のように潤沢な資金があり、ほぼ永遠に生きられる状態にある、アエリウムと呼ばれる雲を抜けた高所に住む富豪たちを指す。

スタック

電子化した人間の意識が入ったチップ。これが破壊されない限り理論上人は死なない。

スリーブ

肉体。スタックがなければただの肉の塊。スリーブにスタックを入れる(スリービングする)ことで生物として機能する。スリーブにはどんなスタック(男、女、動物)でも入れることができ、また逆にどんなスタックにスリーブをスリービングすることも可能(人間以外のスリーブに人間のスタックをスリービングするのは違法な模様)。

エンヴォイ

クゥェル・フォートナー率いる組織。250年前に保護国に対して反乱を起こした。タケシ・コヴァッチは収監される前の過去に所属した。

ネオカトリック 新カトリック

キリスト教カトリックの未来版といった位置づけ。死後スタックによる再生(スリーブ、バーチャルを問わず)を禁じている。スタックに宗教コードが入っているとスリービングできない。

RD

リアル・デス。スタックの破壊、またはバックアップを全て破壊された場合の真の死(再生不可能な死)。

ナディア・マキタ

スタックを作った科学者。

653判決

犯罪被害者を再生させ証言させることが合法か否かを問う裁判。新カトリックの大司教区は再生を認めておらず、たとえ証言のためでも死から戻れば魂は地獄に落ちるとされている。そのためスタックに新カトリックの宗教コードが書かれていれば再生することは原則できない。