プロファイリングはこう出来た「マインドハンター」

おすすめ度:★★★★★☆☆☆☆☆(5点)

マインドハンター-タイトル(C) 2016, Netflix Studio, LLC

犯罪プロファイリングはこう出来た「マインド・ハンター」

製作総指揮:デヴィット・フィンチャー、 シャーリーズ・セロン
原作・制作:ジョー・ペンホール
出演:ジョナサン・グロフ、ホルト・マッキャラニー、アナ・トーヴ、コッター・スミス、ハンナ・グロス
Netflix(ネットフリックス)で視聴する

 



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「マインドハンター」あらすじ

1977年、FBI人質解放交渉のホールデン・フォード(ジョナサン・グロフ)はある事件で人質解放に成功するも犯人を自殺させてしまう。FBIの手順としては問題のないものであったがこの事件をきっかけに生真面目なホールデンは、人質解放のメソッドに疑問を持った。犯人の心理をもっと理解すべきだと思うホールデンは古株の捜査官で行動科学を教えるビル・テンチ(ホルト・マッキャラニー)と組み歴代の凶悪犯のインタビューしていく中で凶悪犯罪を解決、もしくは予防する方法が確立できるのではないか、と思い至り犯罪心理の研究に没頭していく。

マインドハンター-ホールデンの授業(C) 2016, Netflix Studio, LLC

 

 

「マインドハンター」と米国 プロファイリングの歴史

「マインドハンター」は元祖FBIプロファイラーのジョン・ダグラスとマーク・オルシェイカーが著した1996年のノンフィクション「Mind Hunter: Inside the FBI’s Elite Serial Crime Unit」(邦訳「FBIマインド・ハンター セックス殺人捜査の現場から」)をドラマ化したものである。本作のホールデン・フォードはジョン・ダグラスがモデルになっているそうだ。ジョン・ダグラスと言えば、『羊たちの沈黙』でクラリス(ジョディ・フォスター)の上司として登場するクロフォード主任捜査官のモデルとなった人物としても有名(一部では)。
米国におけるプロファイリングの歴史としては1972年FBIに行動科学課(劇中ではビル・テンチが教えている)が創設され、ジェイムズ・A・ブラッセル医学博士、ハワード・テテンロバート・K・レスラージョン・ダグラス等がプロファイリングを担当したとされている。犯罪プロファイリングは現在のような高度なDNA鑑定・指紋データベース等がなかった時代に検挙率を高めるために、必要に迫られる形であらゆる学問を総動員して発展し、確立されたとされている。

マインドハンター-ロールプレイの授業とホールデン(C) 2016, Netflix Studio, LLC

 

 

 

「マインドハンター」 プロファイリングが必要になった動機無き殺人

シリアルキラーやサイコパスという存在が一般的ではなかった70年代、人々は犯罪者を「生まれながらにして悪い人間である」と考え、自分たち善人とは違う生き物だという考えるのが一般的だった。だが1970年代になり、動機のない”異常な”殺人事件が顕在化し始めたことで、警察は従来の捜査方法では犯人を見つけ出すことすら困難であるという現実にも直面していた。本作シーズン1では実在した米国のシリアルキラーエドモンド・ケンパーリチャード・スペック等(注:もちろん本人ではない)のインタビューを通して徐々にプロファイリングという手法が確立されていく様が描かれている。

マインドハンター-エドモンドとインタビュー(C) 2016, Netflix Studio, LLC

 

 

 



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「マインドハンター」 昨今デヴィッド・フィンチャーがドラマを好む理由

「2人の登場人物が車内でコーヒーを啜りながら会話を交わすというシーンが5ページあっても構わない。人間関係が魅力的で、なにかを学ぶことができるならね」

ここ数年、デヴィッド・フィンチャーが映画よりもテレビドラマを好む理由について「映画ではキャラクターを描く時間がない」といっているように、現行の決まりきった枠を飛び出した表現を模索しているようだ。例えば、ホールデンとビルがただドライブしているというシーンが数分あったとしても見るに値するシーンになるのであれば、かまわないといった具合なんだろう。人物をしっかり描いている作品が好みである管理人にとってはどんどんやれ、と言いたいところだけど、”見るに値する”か否かをどう判断するか、という問題は作り手にとって永遠の課題ではないかと思う。わかりやすいストーリーと驚き展開のほうが採算が合ったり、ヒットを狙いやすかったからこそ、結果として物語の中で人物を描写する時間が減っていったという現実にどういう答えをデヴィット・フィンチャーが出してくるのか。その辺りも見どころではないかと思う。ただ、そんな話をしている時点でキャッチーな物語にはならない予感はするけれど(笑)

マインドハンター-ホールデンとビル(C) 2016, Netflix Studio, LLC

 

 

「マインドハンター」 シーズン1 ネタバレなし感想

全5シーズン予定のマインドハンターのシーズン1だけあって、全エピソードの冒頭に登場する男がまだホールデン達に近づくことはない。またデヴィット・フィンチャーが「マインドハンター」は派手なアクションやショッキングな展開に頼らずにキャラクター描写に重点を置いていると言及しているのもあってか、正直地味である。序盤は犯罪プロファイルという概念がない時代に、その考え方と手法を作り出し、他者に認めてもらうまでのプロセスは興味深いものはあるが、”興味深い”は人によっては”退屈”と表現されるものだと思う。管理人としては「マインドハンター」は後半へいくほどダレた印象がある。前述した”見るに値するシーン”を多くしたいという方向性はよくわかるけれど、だからと言って起伏がなくなってはやはりテンションは保てないと僕は思う。デヴィット・フィンチャーとしても実験的な意味があるのか、原作をなぞったらこうなったのかその辺りを語っている記述はネットで見つけられなかったからわからないが、つまらなかったわけでもなく、めちゃめちゃ面白かったわけでもないというシーズン1全体の印象から★は5とした。仮に予定している5シーズンを完走できて視聴者の評価も得られたとしても、シーズン1はイマイチだったね、となりはしないだろうか。展開の遅さは「ハウス・オブ・カード」に似たペース感じるのでデヴィッド・フィンチャーと僕の好みがあっていないだけかもしれない。ちなみに僕はハウスオブカードはシーズン2の途中から見ていないが、マインドハンターのほうが次シーズンが気になるのは事実だ。

マインドハンター-ジーンの尋問(C) 2016, Netflix Studio, LLC