オクジャよりもおすすめ「グエムル 漢江の怪物」
この「グエムル 漢江の怪物」こそがポン・ジュノ監督の真骨頂では?
「グエムル 漢江の怪物」 2006年 韓国 1時間59分
監督・脚本: ポン・ジュノ
製作 :チョ・ヨンベ
出演: ソン・ガンホ、ピョン・ヒボン、パク・ヘイル、ペ・ドゥナ、コ・アソン、お・ダルス、デヴィッド・ジョセフ・アンセルモ
イム・ピルソン、ポール・レイザー、スコット・ウィルソン
「グエムル 漢江の怪物」あらすじ wikiより
漢江から突如上陸した黒い両生類のような怪物(グエムル)は、河原の人々を捕食殺害し、露店の男カンドゥの娘、ヒョンソを捕まえて水中へ消えた。ヒョンソは怪物の巣の下水道から携帯電話で助けを呼ぶ。一方、在韓米軍は怪物は未知の病原菌を持ち、感染したとみられるカンドゥを捕えようとする。カンドゥと一家はヒョンソを救う為に追われながら怪物を探す。
泣いていいのか、笑っていいのかわからないシーンの連続
同じくポン・ジュノ監督の「オクジャ」について記事を書いたらツイッターでフォローさせていただいている方からポン・ジュノならこれでしょ、とおすすめされたので観てみました。見出しはまさに勧められた時の言葉をまるまる使わせてもらってます(大丈夫ですよね???)まずこの言葉を見てどんな映画なのかさっぱり想像がつきませんでしたが(笑)。ほんとまさにこの言葉通りなんです。オーディエンスの感情を揺さぶるシーンの描き方がこのポン・ジュノ監督は一味違う。悲しいはずのシーンがいつのまにか爆笑にすり替えられていたり、オクジャでは見れなかった監督の独特な山場の作り方は必見。2006年の映画なので今更かもしれませんが、オクジャを見た人で「グエムル」を見ていない人にはぜひ見てもらいたい。でもB級映画っぽさは若干あるのでその辺りは踏まえて楽しんでいただきたい(笑)
アメリカ軍が実際に漢江にホルムアルデヒドという薬品を捨てたという事実から着想を得た映画
冒頭でアメリカ人科学者らしき人物が部下に毒薬(ホルムアルデヒド)を不法投棄するよう命じたシーンがあることから、怪物は在韓米軍の廃棄物不法投棄により誕生したとほのめかすものの、それがグエムルを生んだ直接の原因だとは断言していない。韓国では2000年にアメリカ軍が実際にホルムアルデヒドという薬品を漢江に捨てたという事件が実際にあったこともあり、反米色が喚起されるような設定になっている。監督自身もこの映画の反米性は認めている。またその一方でグエムルのVFXはすべてハリウッドの会社(The Orphanage)に丸投げで作ってもらったそう。それはそれでなかなかの肝っ玉である。そして今となってはネットフリックスとプランBと「オクジャ」を作るまでに至ってるのもポン・ジュノ監督のすごいところです。
「グエムル 漢江の怪物」は怪獣物のテンプレートとは一線を画す
特に現代怪獣パニックモノって僕は個人的に苦手でして、それは大体「怪獣現る⇒暴れる⇒対策チームが作られる⇒失敗したりなんやらかんやら紆余曲折を経て⇒解決」というテンプレートは大体変わらないし、その「怪獣が街にやってきた」という出来事を俯瞰的に大局を描くことが多くて結構退屈に感じてしまうことが多いのだけど(シン・ゴジラとかね)、「グエムル」はそのテンプレートを脇役にして、娘をさらわれたカンドゥの家族が無謀にも怪物に立ち向かって娘を取り返そうとするドラマをメインに描く。カンドゥたち家族の主観で物語が進んでいくので、登場人物に感情移入しやすいし、各キャラがまた面白い。まぁ、「軍も警察も差し置いて家族が怪物に立ち向かう」という多少の無茶はご愛敬ということで。
結構グロいグエムル
アジア人のデザインだからかどこかなまなましいグロさがあるグエムル。これがまたヌルヌル動くのが結構キモいし、そして動きが速いのも結構怖い。
中盤は若干ダレるかも、でもそこまで見たら最後まで見て欲しい
韓国の国民性はよくわからないので、多分”韓国あるある”だったりするシーンも「そういうもんなのかね」と見ているしかなく、若干ダレるかもしれない。また設定的には無理がある部分も多々あるともいえる(僕は許容範囲だけど)が、最後にはちゃんと楽しませてくれるはずなんで途中飽きても最後まで見てみるとよいと思います(最後まで見てもつまんなかったらごめんなさい)
「センス8」のぺ・ドゥナ
アーチェリー選手でちょっとすっとぼけた感じのナジャをペ・ドゥナが演じている。グムエルから「センス8」まで10年経ってるのにあまり変わらない。この人日本の映画にも出てたりするんですよね。「リンダ・リンダ・リンダ」とか見たはずだけど全然気づきませんでした。しかし彼女は見た目の割には交戦的な女性を演じることが多いんでしょうか。ポン・ジュノ監督でペ・ドゥナが出ている「吠える犬は噛まない」も気になります(こちらも古いですが)