Netflixドラマ「13の理由」レビュー シーズン4(完結)
13の理由 シーズン3 2019年8月23日配信
巷ではシーズン2は1よりも評価が低いなんて話もあるらしいがシーズン3への更新が決まっている。ハンナの話はシーズン2で区切りがついたということで3でハンナの登場はないそうだ。数字が取れそうだから続ける、というだけの理由なんだろうけれど、もはや13の理由と呼ぶ必要もないような…あるような…。個人的にはシーズン2は1より面白くなっていたと思うのでシーズン3も気になるところ。でもシーズン2で終わっといたほうがきれいだっただろうね。きっと。
13の理由 シーズン3 ネタバレなし感想
ハンナ・ベイカーが出てこないシーズン3は最早「13の理由」というタイトルを冠する必要はあるんだろうか?とすら思っていたけれど、ハンナの死に紐づいて暴かれた秘密、そこから芋づる式に出てきた様々な真実が生徒や親たちに様々な遺恨を残したシーズン2だったことから、彼らのアフターストーリーはやっぱりシーズン3として配信されるにふさわしいものだった。下世話な言い方になってしまうけれど、傷ついた人々のその後の人生はとても興味深いものだし、悲しい出来事がきっかけで生まれた人と人との結束もまた見ていて悪いものではない。
シーズン3はブライス・ウォーカーの家にやってきた家政婦の娘・アニ(グレース・サイフ)の目線を通してシーズン2のラストから8か月後を描く。今回はブライス・ウォーカー(ジャスティン・プレンティス)が行方不明になりその原因にフォーカスが当てられたストーリーになっている。転校生のアニがなんでそんなにリバティ高校に詳しいんだ?という若干の違和感はあるものの、シーンは現在と過去の記憶を行き来しながらブライス・ウォーカーにまつわる事件を描いていく。
結論から言えばシーズン3はエンターテイメントとしてかなり良くできている。ストーリーで言えばシーズンを重ねるにつれてどんどんわかりやすくおもしろくなっているし、シーズン毎にテイストが違うのも飽きさせない。ただ、過去の記憶と現在のシーンが頻繁に行き来するのでちゃんと見てないと物語を把握するのは難しいかもしれない。色が少しあせているシーンは現在のシーン、色鮮やかなほうが過去のシーンになっているということを意識しながら見るほうがいいだろう。
ただ、この「13の理由」のファンにはシーズン3のオチは賛否両論になるんじゃないだろうか。ファンじゃなくてもシーズン3を最後まで見ればきっとオチについて語りたくなるはずだ。
僕はシーズン3をラストまで見て「13の理由」がヒットした理由が、ショッキングな内容で人目を引くことばかりを狙って展開されるストーリーと、至極マジメにいじめやレイプなどの問題を描くという真摯な姿勢が同居していることだったのだと改めて思い知らされた。そもそもいじめやレイプという問題がショッキングなのだから、これらテーマに扱えばわざわざ狙わなくても刺さる人には刺さるし、デリケートな問題をうまく処理することでSNS上でうまく話題にもできる。それがもともとの基本戦略だったとしたらシーズン3のオチもメタ的には納得できる。でも…いろんな意味でそれでいいのかと、そんな風に人間を描いていいのか、と唖然としてしまって視聴後の今なお心がざわざわしている。
既にシーズン4の製作も決定しており、シーズン4が最終シーズンになるとのことだ。倫理やら現実問題は全部脇にどけておけばシーズン2、3と面白くなった「13の理由」がどんなフィナーレを迎えるかは楽しみでしかない。
13の理由 シーズン4 ネタバレなし感想
世界中の話題をさらった「13の理由」もこのシーズン4をもってフィナーレを迎える。打ち切りではなく完結できるのは素晴らしいが、結果から言えばそもそももうネタ切れだったのかもしれない。無理に物語を引っ張った副作用が所々に見えたように思う。個人的にはエンタメとして悪くなかったシーズン3のオチだったけれどそれをベースにシーズン4をやってしまったせいで、初期から考えるとテーマがかなりブレてしまったように感じた。今回も色々な事件が起こるものの、どれも取ってつけたような展開で(もしかするとシーズン3からそれは始まっていたのかもしれないが)、キャラの心境もちぐはぐな印象を受けた。シーズン3まで見ていれば惰性で見れるかな、とは思うけれど頑張ってみるほどでもないかもしれない。