タイムループ物【ARQ】
アメリカ産のタイムループ物映画
「ARQ」 ネットフリックスオリジナル映画 2016年 1時間28分
監督トニー・エリオット
出演:ロビー・アメル、レイチェル・テイラー、ショーン・ベンソン
グレイ・パウエル、ジェイコブ・ネイエム
あらすじ
舞台は石油が枯渇した未来。世界では権力を握り続ける巨大企業「トーラス」と、それに対抗する組織「ブロック」が争いを続けていた。ある日トーラスの社員レンとその恋人ハンナが自宅で目を覚ますと、マスクをつけた集団に襲われ、レンは殺される。するとレンはまた自宅のベッド目を覚ます。そしてまたさっきの集団が現れ、同じ行動を取り始める。何度も殺され、同じ時間を繰り返す中、原因は自宅の地下にある、レンが開発した「ARQ」という無限エネルギー発生装置の影響で時間がループしている気づき、同時にマスクの集団の狙いが見えてくるレン。果たしてレンとハンナは繰り返すタイムループから抜け出し、ピンチを潜り抜けることができるのか?
最早ジャンルとして確立された感のあるタイムループ物
ここ十年くらいタイムリープよりはタイムループ(同じ時間を繰り返す)ものが流行っていた日本アニメのブームに乗っかったのか、それとも全く偶然か(さすがに全く偶然というのは考えにくいが)外国産のタイムループはどんなもんかと見始めると初っ端から良いテンポで主人公が死にます(笑)もちろんループものなんで何度も生き返る、といったお約束展開。その中で如何に新しいアイディアを入れてくるか、がタイムループものの見どころだと僕は思います。
タイムループ一本で勝負
未来という設定、世界観の説明もそこそこに、「ARQのせいでタイムループが起こってます」という前提だけを出し、ただひたすら同じ時間繰り返しながら物語が見えてくるという構成が潔く、そのおかげでとてもテンポよく見入ってしまう仕掛けになっていると思う。登場人物の関係性もループを繰り返す中で見えてくるが、ループ以外のシーンを描かないおかげでいろいろな先入観が適度にミスリードを生んでいるという脚本の塩梅もなかなか良い。
ジャンルとしてのループ物にワンアイディア加えたストーリー
僕はループ物の物語が好きなので結構いろんなパターンを見てきましたが「ARQ」で純粋に目新しい設定は一つだけかもしれません。ただ、そのワンアイディアがの利かせ方がなかなか秀逸です。映画の時間も1時間半より少ない程度で、とてもテンポが良くラストまで一気に持っていかれるような展開です。またミステリーやサスペンスではよくある仕掛けがあったりするけれど、タイムループもので使われるのはなかなか新鮮に感じたりしました。
ただ…惜しい
人物設定もいろいろ凝っていてタイムループのパターンも飽きさせることなく繰り返されていくんです。どうなるんだろう、どうなるんだろうとどんどん引き込まれては行くんですが…。惜しいんです。タイムループ好きとしてはもう一つアイディアが欲しかった。例えば日本のタイムループアニメで言えば、そこが起承転結の”転”といったところで終わってしまう。まぁ、例えばそんな終わり方も悪くはないけれど、この手のストーリーが乱立する以前なら納得できるけど今みたいにいろんなパターンがすでに存在している中でそんなラストじゃ正直物足りない。僕はそんな感想を持ちました。短くまとまっている映画は好きだけど、この映画はあと30分続きが見たかった。「ARQ」はタイムループをジャンルとして見れる人か、もしくはあまりこの手のストーリーに触れたことのない人向きかもしれません。つまらなくないし、比較的好きな映画だけれど、ただただ惜しい。