IMdbスコア脅威の9.2台湾ドラマ「悪との距離」レビュー
IMdbスコア9.2の台湾ドラマ「悪との距離」
監督:リン・ジュンヤン
主演:アリッサ・チア、ウェン・シェンハオ、クリス・ウー、トレーシー・チョウ、チェン・ユー、ツォン・ペイツー、リン・ジェーシー、ホンジュラス、シー・ミンシュアイ、アリソン・リン
「悪との距離」あらすじ
突如映画館で銃を乱射し無差別殺人を起こした李暁明(リーシャオミン)が逮捕起訴され、約二年。動機など多くの事柄について黙秘を続け精神鑑定も拒否した李暁明には死刑判決が下っていた。加害者の家族は世間からの非難の目から隠れるように生き、被害者家族はいまだ嘆き悲しんでいた。李暁明はなぜ無差別殺人を起こしたのか。人権派の弁護士王赦(ワンシー)は、無差別殺人という事件を止めるため李暁明の弁護をし同じような事件が起こさないよう彼を理解するに努めた。一方李大芝と名前を変え、ニュース番組の制作会社へ入社した李暁明の妹は奇しくも無差別殺人の被害者家族を上司に持ってしまう。
「悪との距離」登場人物/キャスト
李大芝(リータージー)/ ユー・チェン
李暁明の妹。事件後に名を変え、無差別殺人犯の妹であることは隠してSBCニュースで働いている。
王赦(ワンシャー)/ ウー・カンレン
無差別殺人犯である李暁明の弁護士。人権派でありながら、無差別殺人の再発を防止するため李暁明の弁護を引き受けている。
喬安(チャオワン) / アリッサ・チア
李暁明に息子を殺されたSBCニュースの局長。
「悪との距離」ネタバレなし感想
台湾で高評価を得たと言われる本作「悪との距離」だが、内容はかなり重い。映画館で突如無差別殺人を起こした李暁明(リーシャオミン)は動機などについては黙秘、精神鑑定も拒否していることから死刑判決が下っていた。李暁明の弁護し、どうして無差別殺人が起こったのかを究明しようと奮闘する王赦()、無差別殺人に息子が巻き込まれたジャーナリストの被害者家族、名前を変えて生きる加害者の妹とその家族。一つの無差別殺人事件を様々な角度から描くヒューマンドラマになっている。
内容的にもセンシティブで、無差別殺人の犯人の加害者家族が受ける社会的制裁であったり、被害者たちのやり場のない怒りと悲しみであったり、精神病患者が危険視されるという現実などが描かれかなり考えさせられる内容になっている。特にこのドラマでは「加害者、被害者双方の家族」が主眼に置かれていて、日本でならドラマというよりも映画館でしか描かれないような内容のドラマだ、といえば少しは想像がつくだろうか。
例えば無差別殺人にあった被害者の家族はどう悲しみを沈めればいいのか。
例えば無差別殺人を行った犯人の家族はどう生きればいいのか。もう幸せを感じることは許されないのか。
従来の映画やドラマであれば、フォーカスを当てるのは無差別殺人のほうであることが多いとは思うが、このドラマは無差別殺人事件の後の被害者、加害者の家族の人生を濃厚に描くという部分が新しくまた重い。そして事件の2年後から描かれることもありストーリーとしては比較的ゆっくりで起伏は少ないため、わかりやすく面白い作品ではないと思う。
ただ現実に起こりうる話であるのにも関わらず、描かれることが少ない内容であるということや、独特の雰囲気も合わさって刺される人には刺さるドラマではないだろうか。続編の制作もすでに決定しているそうだ。