ミステリー+生々しい女性心理「伊藤くんAtoE」
ミステリー要素のある恋愛ドラマ「伊藤くん A to E」
総監督:廣木隆一監督:毛利安孝 稲葉博文原作:柚木麻子「伊藤くん A to E」(幻冬舎文庫)脚本:喜安浩平
出演:木村文乃、佐々木希、志田未来、池田エライザ、夏帆、山田裕貴、中村倫也、田中 圭
スポンサードリンク
「伊藤くん A to E」あらすじ
脚本家、矢崎莉桜(木村文乃)は32歳。5年前に担当したドラマ「東京ドールハウス」は大ヒットを記録したものの、以降のヒット作は出せずにいた。ある日「東京ドールハウス」をネタに書いたエッセイ本「ヒロインみたいな職業恋をしよう!」が発売され、トークショーを開催することになる莉桜。気乗りしないその企画はかつては公私ともにパートナーだったドラマプロデューサーの田村伸也(田中 圭)が立てたもので、田村は同時に参加者は抽選で「矢崎莉桜に直接恋愛相談ができる」という企画も進行していた。次回作のネタ作りになるんじゃないか、という田村に「くだらない」と毒づきながらも、アンケートに目を通す莉桜。するとアンケートに回答した4人の女性たちにある共通点があるんことに気づく。それは、彼女たちの相手の男性の名前がすべて「伊藤」だったこと。莉桜は当選者として、「伊藤」振り回される女、[A]島原智美(佐々木希)、[B]野瀬修子(志田未来)、[C]相田聡子(池田エライザ)、[D]神保実希(夏帆)に会って話を聞くことにする。彼女たちの言う「伊藤」はみな容姿端麗とのことだが、自意識過剰で幼稚で無神経な男。だが、話を聞くうちに、4人の女性のいう「伊藤」はやはり同一人物なのではないか、と思い始めながら、「恋愛相談」という形の取材を続けていくことになる。
「伊藤くん A to E」は取材を通した矢崎(木村文乃)の脳内で展開されるドラマ
矢崎莉桜が一人ずつ恋愛相談を受け、その話の内容を矢崎の頭の中で再生するという設定で大筋のストーリーが展開されていく。そのため、相談者の話に登場する「伊藤君」は矢崎が聞いた感想のイメージで矢崎の身近な人間に置き換わって再生される。相談を受ける内容によって「伊藤君」のイメージが違うからか、相談者によって「伊藤君」を演じる役者が違うのが面白いところでもあるが、少しわかりにくいかもしれない。また色々な場面で矢崎が登場し辛辣な突っ込みを入れたり、誘導したりするのは相談時のやりとりを描いていると思われる。
「伊藤くん A to E」女性の恋愛観、友情観の痛い部分ばかりを描く
男性目線で見るとから見ると結構胸糞の悪い女子ばかりかもしれない。個人的には特に後半の夏帆と池田エライザの回はかなり胸糞が悪かった。これでいて女子にしてみれば「まぁ、なくはない」という話だというのだから、全く事実は小説より奇なりである。本当女は恐ろしい。
木村文乃がタバコを吸う
脚本家という役作りなのか木村文乃が演じる矢崎莉桜がタバコを吸うが妙に違和感がある。というか禁煙歴10か月の管理人はいまだにドラマ映画の登場人物がタバコを吸っていると自分もタバコが吸いたくなったりするのだけれど、この人が吸ってても不思議と吸いたくならない。あまりおいしそうに吸わないからだろうか、この辺も後々の伏線だったら面白いのだけれど。
「伊藤くん A to E」 ネタバレなし 感想
伊藤君が何者かというよりも、単純に痛い男に振り回されてしまう女性の悲喜こもごもがTVドラマ版のメインといったところ。そんなに頻繁には会わないが確かにどこかにいるっぽい「痛い女性たち」。彼女を振り回す「伊藤」も十分に痛いやつだが、彼女たちのキャラクターを鑑みるとどっこいどっこいである。女性の恋愛の中でも無様でみっともない部分を赤裸々に描写している部分が面白さであると同時に痛々しくて見てられないかもしれない。うわー、見てられねーと思い始めたころに、伊藤君を絡めたミステリーが放り込まれて良いカンフル剤になっていたように思える。ただ一番残念なのは全8話であるものの、謎の部分の大方は2018年1月公開の映画に丸投げで触り程度しか答えを見せてくれないということである。。映画がめちゃめちゃ見たくなるほどの出来ではなかったのもあって非常に微妙な最終回だったと思う。そもそも1シーズンのドラマとして伏線を全部回収せず、それを餌に映画に誘導するのはいただけない。単純にオムニバス形式の痛い女性のドラマと思えば面白いと言えば面白いがそれはそれで少し弱い。エンディング曲が全てスピッツの曲だったり、演出にこだわりがあったり、脚本家山崎莉桜を通してTVドラマ業界を憂うセリフがあったりと比較的攻めている印象があっただけに、8話見終わった時点でその分のガッカリ感はあった。映画に誘導する目論見だったんだろうけど、僕にはネットフリックスで配信されたら見るかも程度で映画館まで足を運ぼうとは思えない作品だった。ただ、女性目線で見ると痛い恋愛心理という部分は理解できる部分が多かったり、「友達にいるわーこういう子」的なあるある感が面白いらしい(管理人の彼女曰く)。僕よりも彼女のほうが楽しんでいる感があったこともあり、女性向けの作品なんだろうと思う。